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社会科は、「世界史」のみ開設しています。(2008年度については直接お問合せください)
みなさんはなぜ歴史を学ぶのか、考えたことがありますか?歴史を学ぶにあたり、初心者がつい陥りがちなのが知識偏重主義です。また、深く追求しているつもりでも、大きな落とし穴があります。歴史は学んで終わりではなく、それを現在の社会に生かして初めて役に立つものです。つまり、歴史を学ぶことの本質的意義は、現在起きている出来事と過去を照らし合わせ、現在を正しく認識することです。
以下にEUにおける統合通貨EUROの誕生とその後の経緯を例に挙げて考察します。
「1999年1月から、EU内において単一通貨EUROが誕生し、経済における統一が進められているが、次の段階として何が考えられるだろうか。近代ドイツ統一を例に考察していくこととする。
『19世紀はじめから後半にかけて、それまで分裂状態にあったドイツ地域で統一の機運が高まった。1830年に三月革命がおこり、統一問題が議論されていた中で、最初に行われたのは1834年の全ドイツ関税同盟の成立であった。この結果、加盟諸国間における関税が廃止され、さらに同盟以外の地域との貿易に関しては統一した対応をとり、通貨も統一することによって、国内産業の育成をはかった。これに伴って産業革命も成し遂げたドイツ地域では、資本主義が発展することとなった。そしてこの経済成長の流れの中で指導的立場を確立したプロイセンを中心に再度統一の機運が高まり、普墺戦争、普仏戦争を経て1871年にドイツ帝国が成立し、政治的統一を達成した。』
以上のように、近代ドイツ統一の歩みを見ても、経済統一を行った上で政治統一を達成するという段階を踏んでおり、これをEU統一の流れと重ねて考えることができる。つまり、近年EU内での経済統一が進められている一方、次の段階として政治的統一を推し進める動きが出てくることが予測される。事実、1993年のマーストリヒト条約以降、共通外交・安全保障政策(Common Foreign and Security Policy; CFSP)と呼ばれる政策が掲げられ、外交・安全保障に関して、EUとして「一つの声」を対外的に発言する方向で話が進められている。また、今後欧州憲法条約が発効されると、EUの外交政策を代表するヨーロッパとしての外務大臣のポストが生まれることになる。このように、近代ドイツ統一について学習することで、現在変化しつつあるEUの動向に関して、適切な理解と妥当な予測をすることが可能になる。
さらにEUにおける地理的拡大についても、世界史を学習することで見解を述べることができる。現在、EUへのトルコの加盟問題が議論されているが、これはトルコが1950年代以降北大西洋条約機構の中心的役割を果たしていることから、EUへの加入を認めるべきだというアメリカの主張が大きな影響を与えている。しかしながらこのような立場に対して、国民レベルで反対の意向を示す動きも認められる。トルコの加盟問題に対する反応を複雑にさせている要因としては、トルコの地理的特殊性が挙げられるだろう。現在のトルコ共和国は小アジア半島とバルカン半島の南東端にまたがり、国民のほとんどがイスラム教を信仰し、生活や文化もヨーロッパとは異なる。しかし歴史的に見ると、4世紀末にローマ帝国が東西分裂したあと1453年にオスマントルコ帝国に滅ぼされるまで、小アジアやシリア、ギリシアは東ローマ帝国圏内にあり、アジアとヨーロッパの接点として機能してきた。ヨーロッパに対して利益をもたらすような重要な役割を果たしてきたことを考慮すると、宗教や文化が異なることを理由にEUへの加盟を拒むことは、今後のEUと西アジア地域(アラブ地域)との関係を考える上で適切な判断とは言えないだろう。むしろトルコの加盟を拒むことで、アラブへの歩み寄りの選択を促す結果を導き、勢力均衡状態に大きな変化をもたらす危険性が懸念される。」
現在、大学受験における世界史では、従来の知識偏重型から論理的思考力重視型の問題が出題される傾向が認められます。しかし、知識偏重型から論理的思考力型への移行は一筋縄ではいかず、学校によって差があるのも事実です。このような状況に対応するためには、年号や人名などの知識を身につけるだけではなく、その事象の内容の確認と、その必然性、そして後に及ぼした影響を考えていくことで、断片的な知識から、連続的な歴史としての流れを理解することが大切であると考えます。
これは一見時間と手間のかかる非合理的な作業のように思えるかもしれません。しかし、一回の入試で数えるほどしか出題されない年号を答えるために、何百もの量を暗記することに比べれば、歴史における論理的思考力を身につけることで本質を知ることの方が、はるかに多く実践に役立つでしょう。よって、進教研の世界史は、はじめから詳細を暗記するのではなく、柱となる知識に、より具体的な内容を肉付けしてゆく形を理想としています。全体の流れや因果関係を理解し、分からなくなったら再度確認するという作業を繰り返して知識を定着させていくようにするのです。
第一段階: 歴史の流れをつかむ・・・概観し、各地域・各時代の像をつかむ。
第二段階: 歴史の流れをつかんだ上で、ある程度具体的な知識を得る。覚えるだけでなくポイントとなる 知識から流れを組み立てられるようにする。
第三段階: すでに得た知識に更に肉付けしていくために年号・地名・人名等を確認する。
・ヨーロッパ概観
・中国概観
・ヨーロッパ政治分野概観
・ヨーロッパ経済・社会分野概観
・テーマごとに概観
〈例〉10〜11世紀のイスラム社会、イギリス連邦の変遷、オランダの歴史、儒教の歴史、核の歴史、現代朝鮮、イギリス産業革命と農業革命、他。